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プーチンを支えるイワン・イリインの思想
―― 反西洋の立場とロシア的価値の再生

アントン・バーバシン インターセクションプロジェクト マネージング・ディレクター
ハンナ・ソバーン ハドソン研究所 非常勤フェロー リサーチアソシエーツ

Putin's Philosopher ―― Ivan Ilyin and the Ideology of Moscow's Rule

Anton Barbashin在モスクワ国際関係研究者で、インターセクションプロジェクトのマネージング・ディレクター。
Hannah Thoburn ハドソン研究所 非常勤フェローで、米フォーリン・ポリシー・イニシアティブのユーラシア分析担当者。

2015年11月号掲載論文

イワン・イリインは歴史上の偉大な人物ではない。彼は古典的な意味での研究者や哲学者ではなく、扇動主義と陰謀理論を振りかざし、ファシズム志向をもつ国家主義者にすぎなかった。「ロシアのような巨大な国では民主主義ではなく、(権威主義的な)『国家独裁』だけが唯一可能な権力の在り方だ。地理的・民族的・文化的多様性を抱えるロシアは、強力な中央集権体制でなければ一つにまとめられない」。かつて、このような見方を示したイリインの著作が近年クレムリン内部で広く読まれている。2006年以降、プーチン自ら、国民向け演説でイリインの考えについて言及するようになった。その目的は明らかだ。権威主義的統治を正当化し、外からの脅威を煽り、ロシア正教の伝統的価値を重視することで、ロシア社会をまとめ、ロシアの精神の再生を試みることにある。・・・

  • イワン・イリインとは何者か
  • ファシズムとユーラシアニズム
  • プーチンとイリイン
  • ロシア正教と精神の再生
  • 陰謀論と正当化の間

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